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海外派遣事業の結果報告
2000/5/13

報告者  3年  林 穫衆(えもり)


僕たち5人は、昨年12月にホーランドパークハイスクールの生徒5人が天王寺高校に来て、初めて成り立った両校の相互交流の第1回派遣生として、ブリスベンに派遣されました。 これからお話しすることは、この派遣の結果報告ですが、若干個人的な体験や考えが含まれていると思いますのでお許しください。


さて僕たちは、両校の相互交流が成り立った記念すべき年に派遣されることが決まった訳ですが、当初、僕たちの間には、この節目の年に前回、前々回以上に大きな事をしなければ、という思いが少なからずあり、逆にそれがプレッシャーとなって、僕たちを苦しめました。しかし派遣が迫るにつれて、それぞれが自分のホストファミリーとのコミュニケーションや、健康、食事などに不安を持ち始め、そちらの方により気を使うようになりました。当初感じていた、何か大きな事をしなければ、という重圧感はなくなりました。


このような過程でオーストラリアへ到着したのですが、さっそく恐れていたコミュニケーションの問題につき当たりました。この問題に直面したのは僕だけではないかと思いますが、個人的な体験を話しますと、ブリスベン国際空港に到着したとき、僕のホストファミリーは出迎えに来てくれたのですが、さっそく自己紹介をお互いにしますと、相手のいうことがさっぱり聞き取れなかったのです。このまま2週間が終わるのではないか、と思うとすごく焦りました。空港から家に帰る途中でも車内で何度か話しかけられたのですが、ほとんど理解できません。自分は派遣されるべきだったのだろうか、そんな考えが頭をよぎりました。しかし家に到着ししばらくして冷静になって、異文化間のコミュニケーションについて自分なりに考えることができ、でてきたその答が、「失敗を恐れず積極的、そして友好的に話しかけ、お互いの友好を深めるため努力しよう。」というものだったのです。それからは、すすんで家族の人と会話するようになり、僕の家族や学校のことを夜遅くまで話をしました。どういう言葉を使うか、ではなく、どういう気持ちを込めて言葉を話すか、が大切であるということと、自分が常に相手と仲良くなりたい、という意志を持って接すれば、いつか必ずそれがかなう、ということをこの派遣で知ることができました。


ところで、滞在中の参加行事についてですが、今回の派遣は、昨年日本に来たメンバーを天王寺高校の生徒がホストした、ということもあり、僕たちがそのお返しを全面的にうける格好になりました。最も思い出に残っている行事といえば、学校で3年に一度だけ開かれるダンスパーティーに参加できたことです。2年生の平 直子はこのダンスパーティーに参加し、オーストラリアの学校行事のスケールのおおきさにおどろいたようです。彼女はこれらの行事を通じてたくさんの友達を作り、新鮮かつ驚きにあふれた2週間をすごしていました。また積極的に異文化を吸収するため、知らない食べ物などをすすんで試していたのも彼女でした。ダンスパーティー以外にも様々な珍しい行事に参加する機会が多くあり、その一つ一つに出会いや発見があったわけですが、忘れてならないのが、僕たちのステイを少しでも楽しいものにしよう、と色々と気を使っていただいた、ドット先生をはじめとするホーランドパークハイスクールの教職員の方々、そして僕たちに日本からのお客様としてではなく、普通の友達として接してくれた生徒のみなさんの存在です。彼らには本当に感謝しています。


また、学校外でのことですが、休日はそれぞれホストファミリーが僕たちをいろんな場所に連れていってくれました。3年生の西尾 太一はクイーンズランド州のとなりニューサウスウエールズ州の親戚の農場に行き、そこで日本ではとうてい見られない壮大な規模の自然に触れることができたようです。また彼のホストファーザーは州知事の専属ドライバーで、州知事の家を見学させてもらったり、州に一台しかない車をみせてもらったり、と多くの興味深い体験をしていました。


もう一人の3年生森高 峰穂は休日にホストファミリーと共にバスケットの試合に参加するなど、オーストラリアでも文武両道の生活を送っていたようです。非常に多くの人と知り合い仲良くなった彼女だったので、空港でのホストファミリーとのお別れはかなり辛いものだったのだろう、と思いますが、また会えるという希望を胸に空港でも笑顔でその場の雰囲気をなごませたいました。


そして他のメンバーとは少しちがった体験をしたのが、2年生の鄭 聖愛です。彼女のステイした先は母子家庭でしたが、父親がいないながらも力強く生きているその姿に胸を打たれていました。また彼女のホストマザーは熱心なクリスチャンで、週に何度か教会に行き、そこで多くの人と友達になる、など日本では決してできない経験をしたのが彼女でした。


最後に少し個人的なことになりますが、派遣を通しての自分の変化についてお話ししたいと思います。僕は天王寺に入学してから海外派遣選考を受けるまでの一年半、ただ何となく、はっきりとした夢も持たず、サッカーにあけくれた学校生活をおくってきました。しかし選考作文などを何度も推敲していくうちに、一つの目的に向かって必死に努力できる自分を見つけることができました。 もし僕がこの派遣メンバーに選ばれなかったとしても、選考を通じて得たものがたくさんあったように思います。それまであまり社会問題について友達と話したことがなかった自分にとって、同じ時に集団面接を受けた他の応募者の話というのは、とても新鮮なものに感じられました。僕が言いたいことは、同窓会の皆様が企画してくださった、一連の海外に関するプロジェクトというのは派遣、受入れ、ともに天王寺高校生にとって、色んな意味で成長できる絶好の機会であるということと、これからもできる限り続けていってほしい、ということです。僕はこの他にも生徒のリーダーシップ養成のための様々な企画を実行してくださる、天王寺の先生方、そしてそれを援助してくださる同窓会の方々に、言葉では言い表すことができない感謝の念を抱くと共に、この学校に入学できたことを本当に誇りに思っています。


最後になりましたが、この派遣のため、様々な角度から僕たちを支えてくださって本当にありがとうございました。